当時私が実施した実験は、筋で産生されるアンモニアが末梢においても中枢においても疲労を引き起こす因子になる可能性がある事から、LT(乳酸性作業閾値)程度の走運動を8000m実施した直後に4000m全力走を実施するという実験デザインにおいて血中乳酸濃度、血中アンモニア濃度、等を測定し4000m全力走パフォーマンスとの関係を検討したのですが・・・
この実験では、持久的走運動中に筋で産生されるアンモニアは末梢においても中枢においても疲労因子になり得る可能性は低く、4000m全力走パフォーマンスにアンモニアが及ぼす影響が少ないという結論に至りました。。。
しかしながら、自覚的運動強度を基に中枢性疲労と4000m全力走パフォーマンスの関係を推論すると何らかの関係がみられる可能性は否定出来ず、末梢における疲労の影響が少ないとされるLT程度の運動強度での8000m程度の走運動中において、アンモニア以外の要因によって中枢性疲労が引き起こされその後の4000m全力走に何らかの影響を及ぼす可能性があると推察されます。
近年、中枢性疲労に関する興味深い知見として、中枢性疲労の原因として脳内のTGF-βが注目されており、このTGF-βが脂質代謝に関係している事が明らかにされている事が挙げられます。
すなわち、疲労感を感じている状態、中枢性疲労が引き起こされている状態ではエネルギー代謝における基質として脂質が多く利用される事になり、このような状態においては4000m全力走のような運動に何らかの影響を及ぼす可能性があると考えられる訳です。
残念ながら、当時の私の実験の測定項目では、それを検討する事は出来ませんが、今後の研究テーマとしては非常に興味深いのではないかと考えます。
と、当時の指導教官と電話でそんなやり取りをしたり、先行研究のリサーチをしていると、改めて自分自身、研究者気質なんだなぁ!?と思ったりしています(笑)
研究者としてのレベルは大した事ないとは思いますが。。。(笑)